関西を拠点に、デザイン・イラスト・ファッション・イベントなど、とくにジャンルを限定せずに、遊びを大切にしながらいろんなものをつくられています。

101010との出会い

2022年の夏、101010の田中がほぼ毎日着ていたTシャツがあります。黒色にど真ん中にぐにゃっとしたかたちが入ったTシャツ。少し厚手なので洗っても崩れなくて、サマソニにも来ていきました。このTシャツをデザインしたのはしんごさん。イラストレーターなどいろいろな分野で活動されているのですが、展示を見にいったりしていましたが、お会いしたことはありませんでした。

とにかく同じTシャツをほぼ毎日着るくらい気に入っていたので、101010のロゴやTシャツデザインをぜひしんごさんにお願いしたいと思いました。

101010のサヨコさんはWEBデザイナーですがgalerie6cでもSTAFFをしていて、しんごさんにお会いしたことがあったらしく、サヨコさんもしんごさんにお願いできたらいいものになりそうとなりました。前のめりに「ちょっとご相談したいことが」ということをしんごさんにご連絡し、お会いすることに。

2022年7月27日（水）。いろいろとお願いしたいことを企画書にまとめていたので、そのことをしんごさんに説明しました。昔ながらの定食屋で、とんかつ定食をほおばりがら。そこであらましをお伝えし、別日でもう1度。今度はタバコの匂いに満ちた珈琲館で。

しんごさんと何度かメールのやりとりをして、「ロゴができました！」とご連絡をいただきました。
サヨコさんはそのとき奇病（コロナではない、たぶん食べ過ぎ）にかかっていたので、田中1人で完成したロゴのお披露目の場へ。ロゴをサヨコさんに帰ってから見せると、感嘆、いますぐお礼がいいたいけど、LINEなんかで伝えると薄れるかも知れへんと、よくわからないことを言いながら床についていました。

101010の世界観

さて、ロゴの話をもう少し詳しく。デザインの手法と言いますか、ブランディングのお作法と言いますか。その 1つにVI構築というのがあります。VIとはヴィジュアルアイデンティティのことで、ブランドの世界観を作る上での目印であったり、入口であったり、これがあるのとないのとではブランド運営は大きく変わります。

その時点でお伝えしたことは、101010が大切にしているアイデンティティ。企画書には、今と言葉は違うのですが「好きな人と、いちゃいちゃしながら、いっしょに仕事をし続ける。」と書いていました。そのことと、かたちラボを 10年続けていて、その時間の尊さを拾いあげて世界観の基礎としてくれたのです。

石ころがモチーフに、101010のロゴをつくってくれました。

石ころをモチーフに、101010のロゴを構築したストーリーをしんごさんから聞いて、自分たちが気づかないことにも気づかせてもらいました。改めて自分たちが大切にすることや取り組むこと、そのイメージはロゴとそのストーリーからさらに広がりをもたらせてくれました。また、本来の VIの価値って、こういうことだなと、制作者側ではなくクライアント側になって、気づくことができたのです。

せっかくなので、世界観をつくったメモもぜひ見てもらいたいです。

そこから、世界をどう広げていくのか、さまざまな展開例を共有後、1枚の写真を最後に見せてもらいました。

101010のロゴのモチーフとなった石ころを拾った武庫川の河原の写真です。何か無限の可能性と、持続的な経済圏や関係人口がどうちゃらこうちゃらってことを一瞬で説明できるなと。宇宙ではなく、石ころたちの集合。これが、101010というレーベルの世界観です。

現在開発中の商品

しんごさんはイラストレーターであり、デザイナーであり、何かにしばられない人です。そして、印刷のことをたくさん知っているということ。レトロな印刷会社に約10年間勤められていた経験を裏付けるように、101010で何かをつくるという話をした時も初めて聞くような印刷の技術やプロセスをお聞きました。これはただ単にものを届けるだけではなく、その裏側や背景も伝えたいと思いました。ブランドカードやタグなどのアイテムはもちろん、Tシャツやトートバック、さまざまなパッケージ、もしかすると生地もつくるかもしれません。田中がそうであったように、誰かの定番となるものを届けていきたいです。